英文の編集・校正について

前回のブログでは、本の草稿を最初にケンブリッジ大学出版局に提出したことまで書きました。その後の経過を述べるためにも、ここで英文の編集・校正について書きたいと思います。英語を母語をしてる人でさえ気を使ってするところ、アメリカに来てから本格的に英語を習い始めた自分としては当然直面する課題でしたし、今でもそうです。英文の編集・校正に関する想定に反駁しながら、自分の編集・校正過程について述べたいと思います。ここではライティングとはどういうものかというそもそも論には語らないつもりです、というのも日本語や英語でたくさん情報はあるからです。

読者の皆さんは最初から英語で書くか、日本語でまず書いてそれを翻訳するか、どちらかと思います。いずれの経過を辿ったとしても、編集・校正は文法を直したり、違う動詞や名詞に修正するような意味だとお考えでしょうか?それらはどちらかと言うとProofreadingと言われるもので、最後の段階でする編集・校正のことを意味します。ここで自分が話たい「編集・校正」は英語で言えば、Developmental Editingと言われるものです。最初に書いた下書きの論文やその途中の段階で、誰かに読んでもらったりして自分たちが言いたいことの意味が通じているか、などを指摘してもらうことです。日本語の論文や本を書く際もあると思いますので、この過程は単純に言語的能力の問題に限りません。もちろん、最後の段階でのProofreadingも大事なのですが、それ以前にDevelopmental Editingのほうが自分には大事であって、辛い部分でもありました。

自分の場合は、専門の編集・校正を仕事としている博士号の方にお願いして、各章を書いたらシェアしてコメントをもらい、それに対応して再度書き直したものを見てもらうというのを繰り返しました。金銭的にもそこそこしましたが(各章300ドルぐらい)、それ以上にワードのコメント欄に「unclear」とか「What does it mean?」と書かれていて、それに対応するのが今でも一番辛かったです。もちろん、そのようなわかりにくい部分があれば、遅かれ早かれ読者の声として現れる以上直面すべき問題なのですが、50ページの各章に二けた以上も書かれていていると流石に嫌になりました。英語の作文能力の問題もあるのですが、単純に自然なフレーズや読者に理解してもらえるような英語を書く能力に欠けていると思いました。しかしながらこの過程はスペルや文法ミスなどと異なり、本全体や各章の根幹をなす問題であるので、対応してどうにかわかってもらえるような表現・議論をするようこととなりました。次回で書きますが、この経験が、出版社から依頼された匿名の評価レポートに対応するのに困難さをそこまで感じなかったかと思われます。

以上のような作業は、実際草稿を書き上げるのと同じくらい時間がかかりますので、読者の皆さんにはある程度覚悟するのが必要ではないかと思われます。現在では生成A.I.などこれらの過程をより簡単にする仕組みもあると思われますので、参考にしつつ特に実際の草稿の各章を書く段階でDevelopmental Editingを探すことができれば英語ができる友達に、いなければ自分のような専門家にお願いするのも手ではないかな、と思います。もし、英文編集などで質問があれば、XのDMやメールをいただければと思います。

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