一度目の外部評価とReviewer 2問題について
今回は本の草稿を2021年春に出して、同年9月に受け取った一度目の外部評価(Peer Reviews)を読む部分について書きたいと思います。基本的に4ヶ月近くの夏の間待つことになりましたが、基本的には必要以上に時間がかかったこともありませんでした。結論としてはRevise and Resubmit(改訂及び再提出)であり、何も驚くこともなく適切に評価していただきました。今思うとMemeになるほど学者の間で有名なReviewer 2問題について予期しておくべきでしたが、その言葉も知りませんでした。この問題は、必要以上に意地悪な批判などをするなどして出版を事実上させないようなことを指すものですが、自分が受け取ったPeer Reviewsは意義あるコメントや基本的に大事なことを指摘してもらいました。下記では自分が主に受け取った(1) Editingと用語の定義など明らかにすること, (2) 歴史的文脈, and (3) 語りや章の再構成に関するコメントに関して述べたいと思います。
一つ目は前回のブログでも書いたのですが、Editingの問題に関してです。単純に文法、単語のチョイス、重複された文章などなど多岐にわたる問題を指摘していただきました。より大事なのは自分で作り出した英語の言葉などに困っていたところ、その部分を指摘しもらい、提案などもしてもらいました。これらの問題については、反論どころか指摘してもらった部分については感謝しており、その後一度目の改訂する際に役立ちました。
二つ目は、自分が対象としているより詳細な歴史を戦間期、日本帝国、清朝期・植民地台湾、家族史、ジェンダーやセクシュアリティなどと関連付け、読者にもわかりやすくなるようズーム・アウトして再構成することを指摘してもらいました。これは歴史学者あるあるかと思いますが、どうしても自分の議論と根幹となる部分にフォーカスすると、大きな青写真を見失う傾向にあり、これも指摘してもらい感謝しています。
最後に指摘された部分は、各章の繋がりがわかりにくいので明らかにすることでした。それについても理解できたのですが、反応するのが難しかったコメントもありました。それは外部評価者が本の一部分(養女取引に関して)についてより関心があり、それを中心に本を書いた方が語りの複雑さがなくなりわかりやすい、というものでした。次回のブログでどのように反応したかを書くつもりですが、複雑さをなくした方が良いのはわかるのですが、どうしても譲れない部分もありこの点が唯一の問題でした。
以上のように、自分の場合は外部評価に意地悪な点がなく、最もなことを指摘したもらえたなという感想です。それを持ってReviewer 2問題を否定するつもりはありませんが、評価者を別に敵対的に扱う必要もなく、あるものに関してより良くするようコメントをしてもらっていると捉えることが大事だと思います。自分がジャーナルの論文などを匿名で評価する際もそのことを念頭に置いているので、自分の本の査読者もそのような心境だったのではないかと推測します。次回は、評価を基に改訂した過程と「作者の(一度目の外部評価)反応」について書きたいと思います。