2024年当初から6月に出版局を襲ったサイバーテロ事件まで

皆様季節の変わり目ですが、お元気でしょうか?私はオハイオ州でのAAS(米国アジア研究学会)から自宅の戻って後、風邪を引いてしまいました。春休みに計画していたこともできず、一週間分の授業を休講することにもなり、コロナの時でさえ休まなかったの残念でなりませんでした。出版に関連したイベントをキャンセルしたり延期したりしたのも、残念でした。ともわれ、咳もようやく治りつつあり、後二週間にと少しに迫った学期末まで、遅れを取り戻しつつ頑張るつもりです。今回は、本の製本そのものへ向けた過程が2024年年初から始まったのですが、それに関してと同年6月にケンブリッジ大学出版局を襲ったサイバーテロ事件について書きたいと思います。

製本過程についてはこれまでと異なることがあり、単純にいうとフラストレーションが溜まることばかりでした。同大学出版局では、本そのものの内容と内容以外のことに関する二人の編集者が自分のことを担当していて、製本過程以前はその二人とコミュニケーションを取ることが基本でした。しかしながら、製本過程、具体的には再度の狭義の意味での編集作業とPage Proofsと呼ばれる製本直前のPDF版での最終チェックの過程のことを指すのですが、それらは外部の会社が担当することになります。そのことをそもそも知らなかったのですが、そのこと以上にコミュニケーションの問題がありました。当然他の本の作者のことも担当してることは重々承知してるのですが、メールで質問しても返事がなかったり、返答が曖昧だったり、途中で担当者が変わって振り出しのように会話をしなければいけなかったりです。AIと会話してるような杓子定規な返答しか返ってこなかったりと、2月から6月に向けてこれまでとは違う問題を感じるようになっていました。

そのような時に、ケンブリッジ大学出版局が6月にサイバー攻撃を受け、機能が麻痺することになりました。学術本出版に限らず論文などの機関誌などの機能も麻痺したので、ご存じのことも多いかと思われます。このこと自体は出版局も被害者で、機能不全になったのもどうしようもなかったとは思うので、単純になんとついてないことだろうと思うだけでした(コロナレベルのことがまた起きるとは予想してませんでした)。ただ、より問題であったのは、上記の書いたように製本課程については分社・分業制をとっていた関係で、あることについて誰が担当・責任をなすのかが曖昧で、その点を理解するのに苦労しました。とりわけ、コミュニケーションに苦労してた製本担当の人とはさらなる意思疎通の問題が発生しました。担当の人も混乱状況ではあったのでしょうが、あることについてどのような問題があり、それをどれくらいの期間で解決するのかといった説明もありませんでした。同出版局は世界でも最大規模で、分業制は仕方がない点なのですが、こうした問題が発生した時に誰がどのような責任を取るのかは、後のアンケートではっきり述べたくらいです。

以上のようなことが、製本課程におけるサイバーテロ事件直後までに起きたことでした。我々学生・学者は本の内容をちゃんと書くことができるかどうかが試されるのはもちろんなのですが、学術本出版に関しては製本過程やコミュニケーションのように目に見えないことについても試されることだけはお伝えしたいと思います。次回のブログでは、その後経過から出版日までのことを書きたいと思います。

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