やるせなさ:本著出版までの直近の数ヶ月間

前回において2024年初夏においてケンブリッジ大学出版局を襲ったサイバーテロとその直後の状況の様子などを書きました。今回においてはその後から2025年1月に『Geographies of Gender』を最終的に出版するまでの経緯をお話ししたいと思います。上記のように少し仰々しく言いましたが、本人にできることはほぼなく待つだけでしたので、その辺りの心境・状況が今回の中心です。

2024年7−8月ぐらいにはサイバーテロのそのものの問題はクリアとなっていましたが、その間本来であれば出版できるはずの著書や論文などがストップしており、回復当初はそれらの出版物を出版することが前提となりました。その間の過程はよくわからないのですが、順調ではなかったことは疑いありませんでした。秋頃出版予定となっていた自分の著書やケンブリッジから出版する予定であった他の学者の本も出版延期となりました。サイバーテロ自体はどうしようもないことでしたが、それに伴う延期が無期限且つ無予測であったことが一番堪えました。製本等の担当者に聞いもわからないとのことでしたし、説明責任なども特段ありませんでした。秋学期にはもちろん授業を教えていましたし、四六時中この問題を考えているということではありませんでしたが、もう少し対応はできたのではないかと思わざるを得ませんでした。

感情面の問題とは別に、無期限出版延期には実際面の問題もありました。英語圏の学術本はこれまでお話したように何年もかかるプロジェクトですので、通常発売日は3−4ヶ月前には確定されており、十分な周知期間を取って告知したりします。この作業が自分にはほとんどできませんでした、というのも発売日以前にそもそも発売されるのかもわからないような状況で宣伝活動などもできませんし、この点も堪えました。もちろん著名な学者や学会において既に期待されている人などはそれでも問題ありませんが、自分のように「誰?」「あー名前だけ聞いたことあるような」みたいな立場の人間には、周知活動も不可欠でしたので、この点でもハンディを負ったと言わざるを得ませんし、残念でした。

最終的に2025年1月末に著書が出版開始となったのですが、それを知らされたのはほぼ10日間前でした。それからすぐに勤務先やらお世話になった人へ通知・メールなどを済ませるのが精一杯といった感じで当日を迎えることになり、正直あまり感慨もあまりなく、やっと一息できたぐらいの感じでした。以上のようなサイバーテロ絡みで出版期日が不確実に遅れる、と言うような事態が他の人々に適応するかどうか疑問ですが、参考になればと思います。次回のブログでは、本著出版に関連した記事を総括した上で、このシリーズは終わりにしたいと思います。

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2024年当初から6月に出版局を襲ったサイバーテロ事件まで