学術本のプロポーザル作成過程: (3) 内容

この回と次回で、実際のプロポーザルについて説明したいと思います。各大学出版会によって多少の誤差があるので、ケンブリッジの例として捉えてください。私はシングルスペースで8ページ書きましたが、大体6-10ページが基本だと思われます。

私が書いた時点では、「イントロダクション」、「想定される読者」「各章の構成と要約」「当該本と類似の学術本との比較」「スケジュールと文字数などの情報」「著者の適格性」「結論」を書くことが必要でした。一番期待されていたことは、如何に広い意味で興味を湧かせられるか、と考えてます。その点について、各項目について以下に書きたいと思います。

イントロでは、タイトル、トピック、提示する質問、分析対象とその方法、そして研究の意義を3-4段落で述べます。そこで大事なことは、わかりやすく研究内容を述べるとともに、その意義を読者層とできるだけ広範囲の研究領域において強調することだと思います。日本史なので日本研究に限定するよりは、学際的な点(自分の場合はジェンダーなど)を強調して門戸を広げることではないかと思います。

その点まさに想定する読者層の叙述と関連します。当然ながら出版会はその程度広範囲にアピールできるかを見てきます。それはより広い学術の領域や学生層に適しているのであれば、可能性を見やすいからです。私の場合は日本や台湾の研究以外にもジェンダー、法制史、帝国史などについて、院生や学部生にアピール可能性があることを訴えました。間口が広いことは重要だと思います。

各章の構成については、一段落づつ書きます。目的は全体の把握と同時に実現可能性見てるのではないかと思います。実際の本の一部の提出を課さないかわりに、要約を書かせることでどれくらい整合性があって、書き終わらせることができるのかを見てるはずです。研究が魅力的で広くアピールできたとしても、実行可能性がなければ、数年コミットすることができないからです。

このように、これまでの項目だけでも研究の充実性、広範囲なアピール度、実現可能性という3点が大事で、次回書く項目についても基本的に同じだと考えています。

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